超高度に『医デジ化』された社会の実現

小泉 憲裕
(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授)

2014年4月26日土曜日

ISTU2014における成果発表

International Symposium on Therapeutic Ultrasound 2014 (ISTU 2014,, 2014.4.2-5, Las Vegas, USA)において,下記2件のポスター発表を行ないました.合計50名を超える方々を前に発表・ディスカッションさせていただくことができ,多くのご質問・有益なコメントを賜りました.この場を借りてお礼申し上げるとともに今後の研究活動に積極的にフィードバックしてゆければと期待しております.

新しいメンバーを迎えて,今年度は,腎がん・腎結石に関する深堀研究を行なうと同時に,肝がん・循環器疾患など,本技術の適用対象を拡大,実用化・製品化を見据えて縦横に研究展開してゆければと期待しております.今後ともご支援賜りますよう、どうかよろしくお願いもうしあげます.

[1] Dongjung Lee, Norihiro Koizumi, Hiroyuki Tsukihara, Akira Nomiya, Kiyoshi Yoshinaka, Naohiko Sugita, Yukio Homma, Yoichiro Matsumoto, and Mamoru Mitsuishi," Construction of kidney phantom model with acoustic shadow by rib bones and respiratory organ motion," in Proc. of 11th International Symposium on Therapeutic Ultrasound (ISTU 2014), No.230, 2014.4.2-5, Las Vegas, USA, 2014. Travel award for the 2014 ISTU Symposium

[2] Norihiro Koizumi, Dongjung Lee, Hiroyuki Tsukihara, Akira Nomiya, Kiyoshi Yoshinaka, Motohiro Kawasaki, Naohiko Sugita, Takahiro Ushida, Yukio Homma, Yoichiro Matsumoto, and Mamoru Mitsuishi," Servoing performance enhancement for body targets for NIUTS," in Proc. of 11th International Symposium on Therapeutic Ultrasound (ISTU 2014), No.226, 2014.4.2-5, Las Vegas, USA, 2014.

(Q) 提案する機構でいろいろな方向から超音波を照射できるのか?
(A)現在のシステムでは安全面を考慮して,超音波照射をともなう治療系は未実装だが,提案する機構を用いれば肋骨を避けて医師が照射したい方向から患部に照射することができる.さらに,肋骨の存在下でも呼吸・拍動に対する患部運動補償機能を実装してゆければと期待している.

ISTU 2014におけるポスター発表風景

2014年1月24日金曜日

東京大学先端医療開発フォーラムでのポスター発表

下記、ポスター発表を行ないました。

小泉憲裕, 李 東俊, 月原弘之, 東 隆, 野宮 明, 杉田直彦, 本間之夫, 松本洋一郎, 光石 衛,  "集束超音波による治療システムの開発," 東京大学先端医療開発フォーラム, F5, 2014.1.24, 東京大学伊藤国際学術研究センター, 東京.

(Q)従来のESWLによる結石治療と比較してどうか?
(A)松本研究室との共同研究で,従来のESWL治療よりよりピンポイントな治療法を開発している。そのピンポイント性を生かすためにも高精度な追従が期待されている.従来のESWLによる治療では破砕片が大きくなる.一方で共同研究者の松本らが提案するCCCL(Cloud Cavitation Control Lithotripsy)法では,お湯のなかの角砂糖のようにさらさらと結石を破砕することができる\cite{UMB2006:TIkeda}.CCCL法では,従来法よりも破砕に時間を要するため,治療の高効率化のために超音波の焦点と患部とが高精度に常時一致する患部追従(Focal Lesion Servo: FLS)機能が求められている.

\bibitem{UMB2006:TIkeda}
T.~Ikeda, S.~Yoshizawa, M.~Tosaki, J. S.~Allen, S.~Takagi, N.~Ohta, T.~Kitamura, and Y.~Matsumoto, \emph{Cloud Cavitation Control for Lithotripsy Using High Intensity Focused Ultrasound}, in Ultrasound Med Biol, vol.32, no.9, pp.1383-1397, 2006.

2014年1月8日水曜日

IJATへの論文掲載

新年明けましておめでとうございます.
下記の論文がInternational journal of Automation Technologyに掲載されましたので,ご報告もうしあげます.

Norihiro Koizumi, Kouhei Oota, Dongjun Lee, Hiroyuki Tsukihara, Akira Nomiya, Kiyoshi Yoshinaka, Naohiko Sugita, Yukio Homma, Yoichiro Matsumoto, and Mamoru Mitsuishi, "System Identification Method for Non-Invasive Ultrasound Theragnostic System Incorporating Mechanical Oscillation Part," in International Journal of Automation Technology (IJAT), Vol.8, No.1, 2014.

ダウンロードサイト(要登録,無料):
http://www.fujipress.jp/finder/xslt.php?mode=present&inputfile=IJATE000800010013.xml

(概要)
 本研究では,呼吸・心拍等により能動的に運動する生体患部をロバストかつ高精度に抽出・追従・モニタリングしながら,超音波を集束させてピンポイントに患部へ照射することにより,がん組織や結石の治療を患者の皮膚表面を切開することなく非侵襲かつ低負担で行なう非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法を研究している.
  非侵襲超音波医療診断・治療統合システムを構築するにあたっては,『医デジ化』という,独自のシステム構築論に基づいて行なう.医デジ化とは,医療診断・治療における技能を機能として抽出,分解・再構築(構造化)し,これを定量的に解析し,さらに関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装することで,医療支援システムの開発に利用しようとするものである.
  このうち,本稿では,機構部の振動を抑制するために,力センサおよびゴムひもを利用して機構振動部の共振周波数を同定する手法を提案するとともに,これをもとに振動抑制フィルタを実装したのでその結果について報告する.
 安全・安心な非侵襲超音波医療診断・治療統合システムを構築するためには,患部追従のための超音波画像の質(IQ)に影響を与える機構振動を抑制する必要がある.
 
 

2013年12月19日木曜日

JRMへの論文掲載

Journal of Robotics and Mechatronics (JRM)に下記の論文が掲載されましたので,ご報告もうしあげます.

Norihiro Koizumi, Joonho Seo, Takakazu Funamoto, Yutaro Itagaki, Akira Nomiya, Akira Ishikawa, Hiroyuki Tsukihara, Kiyoshi Yoshinaka, Naohiko Sugita, Yukio Homma, Yoichiro Matsumoto, and Mamoru Mitsuishi, "Construction Methodology for NIUTS –Bed Servoing System for Body Targets-," in Journal of Robotics and Mechatronics (JRM), Vol.25, No.6, pp.1088-1096, 2013.

ダウンロードサイト(要登録,無料):
http://www.fujipress.jp/finder/xslt.php?mode=present&inputfile=ROBOT002500060023.xml

(概要)
 本研究では,呼吸・心拍等により能動的に運動する生体患部をロバストかつ高精度に抽出・追従・モニタリングしながら,超音波を集束させてピンポイントに患部へ照射することにより,がん組織や結石の治療を患者の皮膚表面を切開することなく非侵襲かつ低負担で行なう非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法を研究している.
 非侵襲超音波医療診断・治療統合システムを構築するにあたっては,『医デジ化』という,独自のシステム構築論に基づいて行なう.医デジ化とは,医療診断・治療における技能を機能として抽出,分解・再構築(構造化)し,これを定量的に解析し,さらに関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装することで,医療支援システムの開発に利用しようとするものである.
 このうち,本稿では,ベッド型のシステムを導入することにより患部を超音波画像内に拘束することで,患部の抽出・追従・モニタリングを容易化する手法を提案し,構築したベッド型の患部追従システムにより,実際のヒトの腎臓を適切に追従可能であることを確認した.

 本システムを用いて,現在までに実際のヒトの腎臓に対して平均1.7mm,標準偏差2.0mmでの患部追従を達成しております.今後,医デジ化のための機構・制御・画像処理アルゴリズムを改良してゆくことで,システム上でさらなる高速・高精度化を図り,安全・安心で質の高い医療支援システムを実現してゆければと期待しております.

2013年9月18日水曜日

第22回日本コンピュータ外科学会(2013年9月14-16日)東京大学本郷キャンパス)において下記2件の成果発表を行ないました.

小泉憲裕, 李 東俊, 月原弘之, 東 隆, 野宮 明, 葭仲 潔, 杉田直彦, 本間之夫, 松本洋一郎, 光石 衛,  "超音波画像追従におけるノイズ要因と画像の質(IQ)の評価法," 日本コンピュータ外科学会誌, Vol.15, No.2, pp.116-117, 東京大学本郷キャンパス, 東京.

(概要)超音波画像追従を行なううえで,超音波画像の質を劣化させるノイズ要因を7つに分類し,これを評価する指標を提案し,その有効性を確認した.本指標により,患部の抽出・追従・モニタリングが適切になされているかどうかをシステム側で把握することができ,これに応じた適応的な制御等が可能になる.

小泉憲裕, 板垣雄太郎, 李 東俊, 月原弘之, 東 隆, 野宮 明, 葭仲 潔, 杉田直彦, 本間之夫, 松本洋一郎, 光石 衛,  "肋骨による音響シャドウと呼吸による体動を有する腎臓ファントム・モデルの構築," 日本コンピュータ外科学会誌, Vol.15, No.2, pp.228-229, 2013.9.14-16, 東京大学本郷キャンパス, 東京.

(概要)超音波画像追従を行なううえで,超音波画像の質を劣化させるノイズ要因のひとつとして,肋骨による音響シャドウがあげられる.このノイズ要因下での追従性能のロバスト性を向上するために,その評価系を適切に構築することが求められている.
そこで,本報では,実際のヒトの腎臓と同様の幾何学的特性・音響特性・運動特性を有する腎臓ファントム・モデルを構築し,超音波画像上でその有効性を評価した.

本学会の発表では,発表に関する利益相反(Conflict of Interest:COI)の有無を表明することがもとめられていました.

利益相反(Conflict of Interest:COI):
利益相反とは,外部との経済的な利益関係により公的研究で必要とされる『公正』かつ『適正』な判断が損なわれる,または損なわれるのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態のことを言います.
利益相反は程度の差こそあれ必ず存在するものです.利益相反があること事態が問題なのではなく,それにより研究の倫理性および科学性が揺るがないことが大切です.そのため,利益相反に関しても個人で管理するのではなく,第三者が研究の倫理性および科学性を審査し担保する体制が必要です.
http://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/chiken/REC/kenkyu_sub5.htm


質疑応答は下記のとおり
(Q)誤差のばらつきを利用した評価指標と画像相関を利用した評価指標の関係はどうなっているか?(東大・中島先生)
(A)2つの評価指標は独立の指標となっている.それぞれのノイズ要因に対応した適切な評価指標が求められている.
(Q) 面外の運動による追従はどのように行っているか?(東大・中島先生)
(A)今回の発表では説明しなかったが,実際には2つのプローブを利用して患部の3次元的な運動を検出できるようなプローブ配置となっている.

Q.今から開発しようとするシステムは
体軸方向の運動ではなく,肋間での動きを有するものなのか
A.そうです。
Q.今のファントムで追従実験は行なったのか。
A.はい。
Q.その誤差はいくつなのか。
A.1.78mmです。
Q.それはヒトの場合と比べると少ないのではないか。
その理由とは。
この違いによる問題はないのか。
A.ヒトの周りの筋肉や脂肪、血管などがあります。
ファントムの場合それがないので比較的にきれいに見えて
その分誤差が少ないと思われます。
今回のファントムモデルの場合
新しい手法の評価のため
超音波画像上で同様な肋骨シャドウと腎臓の動きが必要だったため
追従誤差の違いは大きな問題にはなりません。