超高度に『医デジ化』された社会の実現

小泉 憲裕
(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授)

2013年12月19日木曜日

JRMへの論文掲載

Journal of Robotics and Mechatronics (JRM)に下記の論文が掲載されましたので,ご報告もうしあげます.

Norihiro Koizumi, Joonho Seo, Takakazu Funamoto, Yutaro Itagaki, Akira Nomiya, Akira Ishikawa, Hiroyuki Tsukihara, Kiyoshi Yoshinaka, Naohiko Sugita, Yukio Homma, Yoichiro Matsumoto, and Mamoru Mitsuishi, "Construction Methodology for NIUTS –Bed Servoing System for Body Targets-," in Journal of Robotics and Mechatronics (JRM), Vol.25, No.6, pp.1088-1096, 2013.

ダウンロードサイト(要登録,無料):
http://www.fujipress.jp/finder/xslt.php?mode=present&inputfile=ROBOT002500060023.xml

(概要)
 本研究では,呼吸・心拍等により能動的に運動する生体患部をロバストかつ高精度に抽出・追従・モニタリングしながら,超音波を集束させてピンポイントに患部へ照射することにより,がん組織や結石の治療を患者の皮膚表面を切開することなく非侵襲かつ低負担で行なう非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法を研究している.
 非侵襲超音波医療診断・治療統合システムを構築するにあたっては,『医デジ化』という,独自のシステム構築論に基づいて行なう.医デジ化とは,医療診断・治療における技能を機能として抽出,分解・再構築(構造化)し,これを定量的に解析し,さらに関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装することで,医療支援システムの開発に利用しようとするものである.
 このうち,本稿では,ベッド型のシステムを導入することにより患部を超音波画像内に拘束することで,患部の抽出・追従・モニタリングを容易化する手法を提案し,構築したベッド型の患部追従システムにより,実際のヒトの腎臓を適切に追従可能であることを確認した.

 本システムを用いて,現在までに実際のヒトの腎臓に対して平均1.7mm,標準偏差2.0mmでの患部追従を達成しております.今後,医デジ化のための機構・制御・画像処理アルゴリズムを改良してゆくことで,システム上でさらなる高速・高精度化を図り,安全・安心で質の高い医療支援システムを実現してゆければと期待しております.