2013年9月4日水曜日

首都大学東京 南大沢キャンパスで開かれている第31回日本ロボット学会学術講演会において,下記の口頭発表を行ないました.

小泉憲裕, 李 東俊, 月原弘之, 東 隆, 野宮 明, 葭仲 潔, 杉田直彦, 本間之夫, 松本洋一郎, 光石 衛,  "医療技能の技術化・デジタル化に基づく非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法―超音波画像によって同定された生体患部追従誤差に基づくPD制御の問題点と解決策―," 第31回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2013.09.4-6, 首都大学東京 南大沢キャンパス, 東京. 

発表内容の要点は以下のとおり,

要点:
医療支援システムにおけるロボットの制御系を構築するにあたっては,PD制御系が多用されてきた.しかしながら,超音波画像という画像診断モダリティは,その取得原理上多くのノイズ要因(noise factors)を含む.超音波診断画像によって同定される患部追従誤差データが空間的(本システムの場合,およそ0.3-0.4mmの分解能)および時間的に(本システムの場合,サンプリング周波数は40-50Hz)離散的であることを考えれば,追従誤差には本質的に高周波のノイズ成分が含まれてしまうことは容易に想像できよう.

PD制御におけるPおよびDゲインはこの高周波ノイズ成分を増幅した速度指令値をロボットに与えることになる.そのため,PD制御のみでは,追従安定性が損なわれてしまうという問題点がある.本報では,この問題を克服するために,生体患部がなめらかな運動特性(患部運動のメインの周波数はおおよそ1Hz以下)を有し,なおかつロボットの患部追従運動自身が生体患部運動のよいモデルになっていることに着目し,これを利用した2自由度制御系を行なうことで追従安定性および追従精度の向上を図る.

おもな質疑応答は以下の2点でした.

(Q)平滑化のパラメータは心臓などの高周波の患部運動を追従する際に問題にならないか?(早稲田大・石井先生)
(A)現在の平滑化パラメータのカットオフ周波数の設定値は100Hz以上ある.心臓の周期は1Hzであり,上記のカットオフ周波数はこれよりも十分に大きい.一方で,超音波診断画像取得の際の時間おくれが心臓の追従においては問題になる.時間遅れは位相余裕に直接効いてくる。特に,心拍(~1Hz)のように,呼吸(~0.25Hz)と比較して高周波の場合には,この問題が顕在化する.

(Q) 追従精度は患者の初期位置・姿勢に依存するのか?(東大・正宗先生)
(A)依存する.たとえば,テンプレートの取得などは患者の初期位置・初期姿勢に依存する.経験的に適切なテンプレートを取得することで,精度を向上させることがわかっている.また,ノイズに対してロバストなテンプレートを利用することで,初期位置・姿勢による精度の低下をなるべく吸収できるよう工夫している.




2 件のコメント:

  1. 同じロボットでも、医療や災害時のように人間生活の直接的な支援になるものは、期待できますね。
    人型ロボットやペット型ロボットなども様々な研究成果や技術の積み重ねがあるのでしょうけれども、その結果人間にはできないことができ、人間生活に役立つことがわかる様にならないと親しみが湧きません。単に、面白いというだけでは、「それがどうした!」という、反応をしてしまいます。

    小泉先生には、さらに研究を進めて、真に人間生活に貢献するロボット機能の開発に勤めて頂きたいと、期待しております。

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  2. いつも暖かいご激励のコメントをいただきまして,まことにありがとうございます。

    ご指摘のとおり,ロボットの大きな魅力として,人間の能力を超える,高速・高精度な作業ができることがあげられます。

    私が所属する研究室は,代々、工作機械(マザーマシン)を用いた高速・高精度な加工技術の研究室であり,このDNAを基盤として,高速・高精度に動作する制御・機構を有する医療ロボットが開発されてきました。

    さらに,研究に精進し,人体に対して安全・安心に接触動作する高速・高精度な医療ロボットを実現してゆければと期待しております。

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